それはお正月とお盆です。
お休みで親族が集まって楽しいはずのこの期間、実は韓国の女性たち、特にお嫁さんたちにとっては苦行ともいえる労働が待っているんです。
せっかくのお休みなのに~
日本でも「義理の実家に泊まりたくない」などストレスがあったりすると思いますが、韓国では社会問題になっているストレスがあり、最近ではお正月やお盆の後には離婚が増えているとのこと。
毎年その季節になるとニュースで話題になる韓国女性のストレスと対策についてまとめました。
お正月、お盆にすること
韓国ではお正月、お盆は陰暦で行われますが、その内容はだいたい日本と同じです。
大きな違いは、先祖のための料理を準備して、まず先祖に挨拶することです。
クリスチャンの家庭ではしないそうですが、毎年お正月とお盆、そして先祖の命日も、女性たちが1日がかりで数種類の料理を準備しなくてはいけません。
女性がすること
女性たちは先祖に供える料理の準備のために、前日から義理の実家に出向き、ひたすら料理をします。
各種ジョン(チヂミ、白身魚や肉団子、野菜などを小麦粉、卵につけて焼いたもの)、天ぷら、ナムル(野菜や山菜のおひたし)、肉・魚料理等。お正月のお雑煮に入れる水餃子やお盆の松餅なども手作りする家庭もあります。
女性が何人も台所に入ると場所が足りないので、テーブルや床まで広げて料理をするんだけど、腰が痛くなるよ~
それに加え、だんだんと集まる親族に3食を準備し、積み重なったお皿を洗わなければなりません。
余談ですが、韓国では他の人の家でもまるで自分の家と同じように遠慮なく冷蔵庫をバンバン開け、どこに何があるか把握していて、公私の境界線がないのが最初はショッキングでした・・・
昔は親族の女性が集まって世間話をしながらわいわい作っていたんだと思うんですが、近年は共働きが増えて、核家族化して個人主義になってきたため、この女性の仕事を負担に思う人が断然多くなってきました。
男性がすること
一方、男性がすることは特になし・・・。
あるとすれば、先祖に挨拶する時に大礼をしたり直接挨拶をするのは男性だけです。
(女性は長時間かけて準備しても参加できず見守るだけ)
家庭によっても違うけど、だいたい男性はゴロゴロしてる…
名節症候群(お正月やお盆に起因する体調不良)
お正月、お盆のことを명절(ミョンジョル/名節)と言いますが、名節になると女性たちがストレスから名節症候群と言われる体調不良を訴えることが、かなり前からニュースで知られるところとなりました。
シジプ(義理の実家)に遅れて着いたりすると、シオモニ(義理のお母さん)や他の嫁さん方から嫌みを言われるのは覚悟しなければならない。この料理作りが女性にとっては結構大変な肉体労働で、買い物から始まって下ごしらえ、料理作り、後片付けと女性の仕事は際限なく続く。
それでなくてもシオモニとはなるべく一緒にいたくないというのが女性すべての普遍的心情だろう。シオモニのそばに仕え、かいがいしく動き回り、周りの嫁さん方と適当に話を合わせながら何時間も休まずに働く。
出典:<コラム>韓国の女性を苦しめる「名節症候群」、こんな不条理がどこにある!
名節=お正月、お盆が嫌で、そのことを考えると気が重く、数日前から頭痛がしたり息苦しくなったりする症状や、精神的なストレスだけでなく、実際に何時間も同じような姿勢で料理したりしていれば、腰が痛く、肩も凝っちゃいますよね。
更には旦那は何もしないでゴロゴロしてるとなれば、怒りやストレスがたまってしまうのは想像できます。
男の人も手伝って~!!
お正月、お盆の後に離婚が増える
義理の実家に行けば女性だけ働き続けて、男性は何もしないことや、旦那は義理のお母さんの言いなり…、あれやこれや今までの不満が家に帰った後に爆発してケンカとなるのでしょう。
裁判所行政処から提出を受けた資料によると、昨年(2016年)離婚申請の受付件数は10万8880件で、一日平均298件の離婚申請が受け付けられた。ところが、昨年のお正月とお盆の連休後に、それぞれ10日間は一日平均750件の離婚申請が受理されて、通常よりも2.5倍以上多いことが分かった。
出典:“명절 후 이혼 신청, 평소보다 2.5배 이상 증가”
原因となる文化背景
最近は共働きが一般的で、韓国でも男性が家事や子育てに協力してくれる風潮になっています。
では、こうした伝統的な行事はどうして時代に合わせて変わらないんでしょう?
目上を敬う儒教文化
普段は家事を手伝ってくれる旦那さんでも、なぜか義理の実家に行くと何もしなくなります。
というか、何もできなくなることが多いです。なぜなら義理のお母さんが嫌がるからです。
韓国では初対面の時にまず年齢を確認するほど上下関係に厳しいのですが、目上の人の言うことは絶対で、目上の人がその家の法、ルールを作っていると言ってもいいでしょう。
実は長時間かけて準備する料理もスーパーで売っていたり、ネットで注文することもできるのですが(若い人たちはみんなそうしたい)、先祖や家族のために真心を込めて手作りしたい義理のお母さんに従わないといけません。
男子厨房に入るべからず
韓国では、男の子が台所に入ると”고추가 떨어진다”(おちん〇んが落ちる)とおばあちゃんやお母さんがよく言ったそうです。(さすが韓国、「고추=とうがらし」が「おちん〇ん」なんですね!)
今でも上の世代の人は息子が台所に入るのを嫌がることが多いです。
それで、男性は何もしないんですね。
うちのパンダ夫もたまに料理をしてくれることもありますが、義理のお母さんの前ではその姿を見せられないそうです。
世代によって考え方が違うのはどの国も同じだけどね
名節症候群の対策法
では、実際に体調不良まで起こすほどの名節に女性たちはどういう対策をしているんでしょう?
実際にされている方法を含め、考えてみました。
仮病をつかう
お嫁さんたちにとっては家族全員が集まる名節に行かないわけにも行かず、でも行けば肉体労働が待っているし…ということで考え出された苦肉の策。
特に演出用の偽ギブスはよく売れたとか。嘘のような本当の話。今でもネットショッピングで買うことができます。
※注:もうニュースで知られるところとなってしまったため、しない方が無難。
ちょっと笑ってしまいますが…、ここまでしなければいけないお嫁さんの気持ちは真剣です!
けっこう売れたらしい
男性が態度を変える
ずっと働き続ける女性に優しい声をかけたり、実際に感謝の気持ちを見せるのが一番ですよね。実際に手伝えるところは手伝って女性の負担を少しでも軽くしてあげてほしいです。
また、義理の実家に助言しやすいのも男性なので、必要なことは進言してほしいですね。
うまく話してね~
実は名節症候群にも長時間運転したり、妻と母にはさまれて神経を使ってストレスを感じる男性のケースもあるそうです。
社会問題として時代に合わせる
最近は名節のたびに名節症候群や離婚増加などを踏まえ、女性が不条理を感じる仕事を男性も一緒に手伝いましょうというようなニュースが流れるようになりました。
大統領府がある청와대(チョンワデ/青瓦台)にもこの風習を変えてほしいと多くの意見が集まっていて、社会問題として認められるようになりました。
みんなそう思ってるんだよね~
実際には各家庭によって違いますが、もう祭祀をしない家庭もあれば、料理を買ってすませたり、女性がそれぞれ作った料理を持ち込んだりする家庭も徐々に増えつつあるようです。
一方、久しぶりに会う家族においしいものを作ってあげたいというおばあちゃん、お母さんたちもいるわけで。
みんながハッピーになる方法があればいいんだけど
いずれにしても世代が変われば風習もどんどん変わっていくでしょう。その時には昔は大変だったなあと懐かしく思う日がくるかもしれません。
大変だったでしょう?おつかれさま!
女性のみなさん、おつかれさまでした~!!